一章 白雪の過去は……

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いっそ…いっその事誰も手を差し伸べなければお継母様(おかあさま)の悪事は直ぐに露見したことでしょう。 けれども、けれども白雪は愛らしかったのです。 彼女の微笑みを見て誰もが手を差し伸べずには居られませんでした。 料理番は、意地悪なお妃さまの目を盗んでは料理の一番良い所を こっそりと子供用の小さい器によそって白雪に振舞い 衣装係は王様から全てを任されていたので、適宜美しい布を見繕って仕立てては白雪姫に届けました。 新しいお妃さまに見つかれば取り上げられて目の前でボロボロにされてしまうのがオチなのですが、頃合いを見計らっては衣装係が新しい服を白雪姫に届けるので王様は新しいお妃の意地悪に気が付きません。 侍女たちはせめて明るく……と、お妃さまの見ていない所では白雪に対して親切でした。 そうして白雪がいつまでも愛らしかったので、 新しいお妃様は更なる憎悪をたっぷりと、胸の内に募らせてゆくのでした。 そして白雪は白雪でその小さな胸の内に寂しさを抱えながらも 侍女たちの普段のそっけない態度に心を痛めながらも 私は恵まれている……城下の子供たちに比べて食べるものも着る物にも不自由していないのだから…… と、自分を何とか説得してニコニコと暮らすのでした。
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