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二章 森に連れていかれる白雪姫
「白雪、今日は許嫁の侯爵領へ行く日ですよ」
ある日の朝、早朝から呼び出された白雪は眠い目をこすりながら手早く着替えを自分で済ませると、謁見の間へ急ぎ向かいました。
床には赤と白と深い緑で大きな円を描いた星模様の飾りタイル。
別珍で作られた重厚な赤の垂れ幕は金の縁取りで、横に同じく金色のタッセルが取り付けられています。
そのその前にいつもは父上の座っている玉座が置かれていました。
椅子に深く腰掛け、ドレスの裾からほんの少しすっと伸びる細い足を絡ませた継母は、いつもの様に何の感情もなくいつものようにただ一方的に白雪姫に告げました。
「はい。お母様。」
白雪は本当は外になど出たくなかったのですが、どうせ反論をしても余計にひどい意地悪をされ痛い目を見るだけなのは明白だったので、白雪は恭しく意地悪な継母に頭を下げました。
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