二章 森に連れていかれる白雪姫

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カララン…… 「行って……行ってくだされ」 それから斧を手放して先に折れたのは従者の方でした。 「そんな……どうして」 長年仕えてくれた従者から命を狙われたこと 一度殺そうとしておきながらそれを今止めようとしていること。 全てが理解できずに白雪のその白い頬は驚きと恐怖で青ざめていました。 「申し訳ありません……申し訳ありません……良いので……良いので……行ってくだされ。振り返らずに。走るのです遠くへ。そして二度と戻らないで」 お嬢様、どうかお幸せに…… 白雪の事を心の中では子供の頃から我が孫の様に可愛く思っていた老従者でしたが、家族の命を盾に脅され嫌々仕方なく意地悪な継母のお妃さまに従っていたのです。 しかしながらこの混乱した状況で、そのことを短時間のうちに白雪に説明できる余裕などあろうはずもありません。 白雪の、期待に裏切られ絶望と恐怖でいっぱいになった拒絶の眼差しと、震える小さなピンク色の唇を見てしまった後では、もう意地悪なお妃さまに従う気にはなれませんでした。普段の親愛を湛えたまなざしを想えばそれはなおの事、骨身にしみて堪えるのでした。 たとえそれがどんなに自分にとって悲惨な結果を招いたとしてもーー
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