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0.あなたへ
Yさん
おひさしぶりです。
私がこの『ひゃくもじがたり』を書き始めたのは、ちょうどあなたとX(旧Twitter)で知り合った頃でしたね。
この物語の構想だけ持っていて、最初どう書いていこうか全然定まっておらず、ポツポツと小出しで数話書いていた感じでした。
あの時の自分は本当にツラかった。
思いもよらない病気で、もう人生が終わるんじゃないかと思うくらいキっツい病気でした。
外にも出られずじっと養生する中で、X(旧Twitter)を見真似で始め、そして、おんなじような箇所の病気と闘っているYさん、あなたと知り合いました。
でも、あなたの病状は私よりずっと重くて、毎日が命の危険と隣り合わせという、そんな日々でしたね。
あなたは「自分が生きる糧にしたい」と、私が投稿する『ひゃくもじがたり』をいつも楽しみに読んで、感想をDMでくれました。
私は、そんなあなたの励ましと、あなたが頑張る姿を見て体調がよくなり、生活も元に戻ることができました。
感謝しています。
話数が積み上がるうちに、いつしか二人で『このお話がもし百話に届いたらYさんの病気が治る』という謎の願掛けみたいなノリになって、なんかこっちも話数を積み上げるのが使命のように感じてきて、ひたすら書きました。
時折、「やーん、こんなエモいお話を読んだら死んじゃう」と、ふざけて感想を送ってきたけれど、あなたの病状を考えたら本当に笑えない冗談だったので、返答に困りましたよ笑
でも、だんだん作品に関するレスDMや、全体発信のツイートも減ってきて、そのうち、容態が重大な局面にあることが告げられて、成功率が大変低い手術を控えていても、それでもあなたはフォロワーのみんなに「また帰ってくるから」と明るく伝えて、そして、とうとうそれっきりになってしまいましたね。
Yさん、私はあなたのフルネームも、居場所も、何にも知りません。
知っているのはたまに上がる元気な笑顔の写真と、私に教えてくれた下のお名前。
私の知っているあなたは、いつもとびっきりの笑顔。
かろうじて、ご家族から容態についての代理のアナウンスがあったときに、いつも呼んでいた下のお名前が本当のお名前だったことを知りました。
あなたから連絡が途絶えても、たとえ発信ができる状態にはなくても、私はあなたが読んでくれていると信じて書き続けました。
そうして、いつしか物語は百話を迎えることができました。
Yさん、あなたはどのお話が一番好きでしたか?
また、物語の続きを読んで感想を送ってくれますよね?
虹の橋は、渡れないように私が外しておきましたから。
FOR YOU
FOR ME
あなたに届け
百の物語。
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