第1話 序

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弾倉を脱着し、装填、槓桿を引く。 弾倉がまた空になる。 装填、槓桿を引く、装填、槓桿を... その動きを反復する。 手持ちの弾倉は撃ち尽くした。 敵装甲車のうち何輌かは最初の攻勢で大破したが、殆どの車輌はそのまま、鉄の川となって押し寄せた。 遂に男達のいる丘を、装甲車が登りきる。 塹壕装甲車は味方を履き潰し、兵員輸送車が側面銃眼(ガンポート)から鉛を打ち付けた。 味方は悉く倒れる。 自分も弾を受け、倒れこむ。 ヒューヒューと息を吐き、男は静かに運命(さだめ)を呪った。
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