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「浜田ー、今日は残業か?」
「のような、ではないような」
「どっちだよっ」
何ごともはっきりと素早く、がモットーの関西人、澤田。一つ下の独身貴族だが、本人の気質と浜田の気質が上下関係をあやふやにしている。
「どっちだっていいんだよ、あいつは。最後に『行くぞ!』って言えばついてくんだから」
同期の柏木が混ぜっ返す。飲みに行くのは澤田、柏木、他に三人。
「行くぞ、浜田!」
柏木が声をかける。
「分かった、行くよ」
元々そのつもりだったのか、浜田はあっという間に帰り支度を整えた。
「なんだよ、行く気満々じゃないか」
「まあね。俺がいないと弾まないだろ? 会話」
「よく言うわ、くらげのクセに」
澤田は言葉の出し惜しみをしない。特に浜田に関しては。
本当は浜田はどっちでも良かった。周りが動くように動く。これで声をかけられなければ残業をした。
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