刹那のターニングポイント(Jの物語:番外編その12)-完-

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  「浜田ー、今日は残業か?」 「のような、ではないような」 「どっちだよっ」  何ごともはっきりと素早く、がモットーの関西人、澤田。一つ下の独身貴族だが、本人の気質と浜田の気質が上下関係をあやふやにしている。 「どっちだっていいんだよ、あいつは。最後に『行くぞ!』って言えばついてくんだから」  同期の柏木が混ぜっ返す。飲みに行くのは澤田、柏木、他に三人。 「行くぞ、浜田!」  柏木が声をかける。 「分かった、行くよ」  元々そのつもりだったのか、浜田はあっという間に帰り支度を整えた。 「なんだよ、行く気満々じゃないか」 「まあね。俺がいないと弾まないだろ? 会話」 「よく言うわ、くらげのクセに」  澤田は言葉の出し惜しみをしない。特に浜田に関しては。  本当は浜田はどっちでも良かった。周りが動くように動く。これで声をかけられなければ残業をした。  
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