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無言になってしまった陽子を見て浜田はどうしていいか分からなくなってしまった。
「な、今日はカップル! そうだろ?」
「そうよ…… たった2時間かそこらのカップル……私……」
ぼろぼろと涙が落ちる。止められない、苦しい、そして
「さびしい…… わたし、さびしい、だれもいない、さびし……」
なぜそんな気持ちになったのか浜田には分からない。自分がもう抱くことの無かったはずの胸の奥からこみ上げてくる感情。
浜田は陽子の手に自分の手を重ねていた。そうせずにはいられなかった、陽子が寂しいのが寂しかった。
「おんなじだよ、おんなじ。井上だけじゃない、寂しいのは。お前だけじゃないから」
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