2.因縁の対決

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 レイラが振り向いたとき、審判が3名とも、「アリス1本」の旗を上げていた。レイラは何があったのか気になり、立ち上がりかけたのを止め横の選手に何があったか聞いてみた。  アリスは上段に、相手は青眼に構えていた。そこまではレイラも見ている。不思議なのはその後からだった。宮本選手は攻撃するわけでもなく、逆にアリスから攻撃を受けているかのような仕草で何度か首を左右に振ったりした後で攻撃に出ようと前に出た時に、アリスの片手小手打ちが決まったらしい。  (今まであんなに余裕のあった宮本選手がなぜ…?)レイラは試合を止めてもらうつもりでいたが、(この試合だけは見ておきたい)と考えを改めて集中して見る事にした。  試合の方は1本対1本、次に1本決めた方の勝ちとなる。アリスは先ほどと変わらず何か様子がおかしい。それは宮本選手も同じだった。  横から見ると、アリスは上段に構えてはいるが、ただ突っ立っているだけにしか見えない。なのにアリスの正面の宮本選手は、何度か攻撃を受けてそれをかわすような動きをしている。  何だかアリスから見えない攻撃の触手が出ているかのように…。  宮本選手は何度かかわすような動作の後、追い詰められたような感じで苦しまぎれの面を打って出た。実際はアリスが追い詰めてた訳じゃないが、そういうふうにしか見えなかった。
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