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アリスは上段に構えていたから、面の上には両手と竹刀があったが、右手だけを竹刀から離し、宮本選手の面打ちをなんと竹刀の「柄」で受け止めたと思うと、そのまま左手だけを「ぶんっ!」と振り下ろし、
「パーンッ!」
宮本選手の面のど真ん中を打ち抜いた。
「面1本!勝負あり!」
と審判が宣言し、こうしてアリスの試合は勝利して終わった…と思ったら、
並んで礼をした直後にアリスはゆっくりと後ろに倒れだした…。
「危ない!」
とレイラがアリスの背中から後頭部の部分を守るように飛び込み、事なきを得たが、アリスはそのまま医務室に運ばれた。
「アリス!大丈夫?しっかりして!」
と言いながらアリスの面を外し、ほっぺを叩いていると、アリスが、
「い…痛い…」
と言いながら目覚めた。
レイラはアリスのほっぺを強く叩き過ぎたと思い、
「あ!ごめん、強く叩き過ぎたわ」
「ち…違うの…。痛いのは左足の膝小僧だよ…」
袴を少し上げてアリスの足を見ると、膝小僧の周りが真っ赤になって腫れていた…。
アリスは、
「やっぱり宮本選手は強いね…。負けちゃったよ…。みんなごめんね…」
と言ったがレイラはすぐさま、
「何言ってんのよ!アリスが見事勝ったじゃないの!」
というと、
「え!?私が…勝った?…憶えてないわ…」
診察の結果、アリスの左足半月板にヒビが入っているということだったので、決勝は棄権することとなり、この大会は準優勝で終わった。
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