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4.作戦会議
……後日、屋敷での検討会
レイラはアリスと二人でゆっくり話し合える休日に、アリスの部屋で話すことになった。最初は二人だけの予定だったが、アリスが、
「パパとママにも意見を聞きたい」
と半ば強引に両親を呼んできた。パパがホワイトボードがあったほうがいいというので、ダイニングのを借りて来て、ママが書記をすることになった。
アリスは今回の団体戦のいきさつや試合の状況を両親に話し、追加でレイラが補足を入れた。パパは少しの間考えを巡らせていたが、
「アリスが無意識状態の時は、目を開けてたのか?」
「私?記憶がないからはっきりしないんだけど、夢の中で戦っていたような気がするの。でも目は…全開ではなかったような…。開けていたとしても、細目だった気がする…」
書記役のママは、今の要点を簡潔に箇条書きにして書き出してくれている。
パパは、
「今までのデータを一度整理してみよう。まずアリスはほぼ気絶していたが、試合の夢のようなものを見ていた。目はつむっていたか、細目だった。横から見たら棒立ちのように見えた…」
ここまでは合ってるか?
レイラは「そうです」と答えた。するとさらに、
「次に宮本選手の方だが、なぜか攻撃できず、アリスは何もしていないのに、時々防御の姿勢をとることがあった…ということでいいんだな?」
「ハイ。私が見た限りではそうでした」
とレイラが答えた。
「レイはどう見る?」
「パパ、いきなり振らないでよ。こんな大事な話をしてるのに…。私がここまでで感じたのは、宮本選手は相手の「目」を見てるのかな?ってくらいしか思いつきませんよ…」
「それだ!」
とパパはママを指さしながら言った。何が「それ」なんだろう…?
「オレの仮説なんだが…」
と言い、アリスのパパは続けた。
「アリス。上段に構えた時にはどこを見てる?」
「えー?私?そうねえ…相手の竹刀の先からその向こうの相手の顔、特に目の付近かな…」
「もしだよ?その相手の目が下を見ていたらどうだ?」
「不気味だわ…。うかつに近づけないよね…」
「ではもう一つ。その下を見ていた目が、急に開いたらどうだ?」
「そりゃあ…、攻撃が来る!と思って身構えちゃうかな…あ!」
レイラも同時に「あ!」と言った。
パパは、
「後はアリス達で対策をしなよ。オレらはここまでだ」
レイラとアリスだけでは出ていなかった結論かも知れないけど、あとは二人でなんとかしなきゃいけないな、とレイラは思った。
パパは、
「今日の夕食は久しぶりに皆で「八丁堀」の広島焼きにするか?もちろんレイラちゃんも一緒な」
と言い終わらないうちにアリスが、
「ヤッター!レイラもだよ!」
と言って飛び上がった…。
渚の街のモノクローム外伝 [レイラアナザーストーリー③]終
あとがきは次のページです。
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