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ナスミート
「今のお昼はパスタでいい?」
「うん。ありがと」
電子ケトルに水を入れ、パチンとスイッチを入れる。
大きめの鍋と、少し底が深めのフライパン。
ナスをトントンと輪切りにし、ボウルの中へ。
そこへ水を注ぐ。
鍋の中に入れる水は、電子ケトルの水の量も考えて少し少な目に。
別に全部鍋で沸かしても良いのだが、なんとなくガス代の節約のために両方使ってる。自己満足。
冷凍庫に入っていたニンニクを取り出し、薄皮を剥くと、これもトントンと細かく刻む。
オリーブ油にニンニクを入れ、弱火でじっくり炒めたら、水気を拭き取ったナスを投入。
「いい香り」
ナスを炒めつつ、お湯には塩を。
「これくらいかな」
少しナスがしんなりしたら、市販のミートソースを投入。
ケトルから追加した鍋のお湯にはパスタ。タイマーセット。
「あと6分でできるよ一」
「わかった」
300円均一で買った電子レンジ用のスチーマーに、春雨ともやし、水を入れてレンジで5分。
タイマーを睨みつつ、フライパンをかき混ぜて火を止める。
さあ、ここからスピード勝負!
冷蔵庫から出したハムを手早く刻み、コーン缶を開けてザルへ。
レンジが鳴ったのと同時にスチーマーを取り出し、中身を同じザルへ開ける。
...と、ここでタイマーが自己主張開始。
「待って、待って」
慌てて鍋の火を止め、別のザルへとパスタを出し、何度か湯切りしたらフライパンヘ。
フライパンの中でナスと赤いソースがしっかり絡むように混ぜる。
「できた?」
キッチンに顔を覗かせた旦那に
「うん。これ、二つに分けて盛り付けてくれる?」
と聞けば
「いいよ」
とのお返事。やった。
フライパンはお任せして、ザルからスチーマーへともやしたちを戻し、マヨネーズと麺つゆで味を整えたら完成。
「いただきます」
旦那は目を輝かせて、パスタの上のナスをフォークですくってパクリと食べた。
「...そっちの方がナス、多くない?」
旦那の皿と、私の皿と見比べてつぶやく私。
「...ダメ?」
真面目な顔で聞き返さないで欲しい。
「まあ良いけどさ」
フライパン渡した時点で、そんな気はしてた。想定内。
フォークにくるりとパスタを巻き付けて、口一杯に頬張れば、こくのあるトマトソースがナスの食感と共に口の中で一気に広がる。
「うん。美味しい」
その味に満足してうなずく私と
「美味しい」
ひたすらナスミートを頬張る旦那。
「サラダもあるよ?」
「うん」
「コーンとか入れたよ?」
「うん」
「...」
まあ、パスタを食べ終わったら、サラダも食べるでしょ。
テレビをつけると、タレントが一生懸命キャベツを刻んでいた。
「へえ、やみつきコールスローだって」
「うちにキャベツあるの?」
「あるよ」
「レシピ、メモっといて」
「はいはい。夕食ね」
目を輝かせて手料理を頬張る旦那に、嫁は弱いのだ。
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