物件の心理的瑕疵にオ○ニーを見せつけた俺の話

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 「申し遅れました。僕の名前は影山広夢。享年18歳です。〇〇不動産会社専属の、心理的瑕疵をしております。こちら、お名刺です」  「おぉ、これはこれは。ご丁寧に恐れ入ります。なにぶん学生なもので、名刺の用意はしてございませんが…。って、ちゃうやろ。何で、幽霊と名刺交換してるねん。ってか心理的瑕疵って、職業としてなるもんなん?」  「お手本のように、ゴリゴリにノリツッコミましたね。流石は関西人です。順を追って、説明しますね。僕は勇輝さんと同じように、この春高校を卒業して下宿する予定の専門学校生でした。それが…」  「俺の名前、知ってたんや。ってか、ちょい待って。敬語とか、使わんでええよ。いや、お互いタメだって言うのもあるけど…。その口調、見た目と相まって他作品の陰キャとすごい被るねんな」  「?よく分かりませんが。勇輝さん…勇輝が、そう言うなら。僕は学校が始まる前の3月に、一人暮らしに慣れるため下宿を始めてたんだ。その頃には、僕と違った心理的瑕疵…幽霊がこの部屋にはいたんだね。〇子みたいな髪型と服装をした、イカニモって感じのテンプレ幽霊だった」  「そうなんや。その幽霊に、取り殺されてしまったとか?」  「いや全然。言ってなかったけど僕、愛知県のとあるお寺の子だから。仏様とは、同じ釜の米を食った仲。幽霊の一体や二体、襲いかかってこようが屁とも思わない。般若心経の一つ唱えるまでもなく、勝手に向こうが有り難がって成仏しちゃった」  「マジか。広夢って、愛知県民だったんや。愛知県民って、方言でみゃーみゃー言うってホンマなん?なぁ、ちょっと試しに『みゃー』って言ってみて!」  「食いつくところ、そこ?言わないよ絶対。まぁそんなこんなで心理的瑕疵を撃退した結果、鬼のような形相をして駆けつけてきたのが大家だった」  「大家」  「賃貸借の契約として、部屋を元の状態に戻す義務があるとかうんたらかんたら。例の心理的瑕疵は元々この部屋にいたものだから、代わりにお前が心理的瑕疵になるんだよって言ってきた」  「メチャクチャやな!?あの大家、虫も殺さんような顔して。ま、まさかその大家に殺されてしまったとか?」  「まぁ、遠因としては…。そう言って詰め寄られた結果、たまたま足元にあったバナナの皮に足を滑らせてしまったのだね。打ちどころが悪くそのまま幽霊となり、晴れて僕がこの部屋の心理的瑕疵として専任契約を結ぶことになった訳だ」  「なるほど、一つも分からんな。1000文字超えたから、一旦ページまたぐで」
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