6人が本棚に入れています
本棚に追加
思った通り、先輩は戻ってこなかった。
焼きリンゴ、できたのに。
ひとりでアルミホイルを開きたくない。甘い香りのリンゴを見たら、きっと私は嫉妬するから。
誰も悪くない。何も知らず、ひとり隠れて甘くとろけていたリンゴの柔らかさだって、悪くない。
アルミの上から軽く、指でつつく。このまま放っておいて、どんどん焦がして、誰にも気づかれないまま黒くしてやるんだ。
ごめんね、って両手を合わせる。いただきません。
もう、私は妬きません。
最初のコメントを投稿しよう!