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ヴィンラント王国へやって来た時、ケイト様は男爵令嬢様などではなく「魔術によって召喚された一般人」だった。
故郷の世界では「コーコーセー」という身分だったらしいが、それが一体どのくらい偉いのか私にはさっぱり分からない。
その時ちょうど南大陸テッサロキアへの冒険の旅から帰って来ていた『航海王子』ヘンリー殿下とそのクルーたちがかかっていた「海悪魔の呪い」を、ライムジュースを飲ませて全員完治する。という奇跡みたいなことを彼女はやってのけ、お城のみんなを驚愕させた。
「王子様の命の恩人」となったケイト様の名声は一気に上がり、しかもロチェスター卿の予言どおり彼女は、屈強な騎士でも引くことの出来なかった聖弓ケイローンの弦を事も無げに引いて見せたのだ。
「奇跡だ!」
私も含めた宮廷の人たちは一気に盛り上がった。
下級の山羊悪魔とかならともかく、強い魔力と強靭さを兼ね備えた上級悪魔を倒すのは生半可なことではなく、聖弓ケイローンのような神に祝福された武器が私たちには絶対に必要だった。
もちろん、使える人がいることも含めて。
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