お屋敷の仲間たち

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──── 「ようこそ、柊の館へ!私、この館の執務全般を取り仕切っております、執事のダニエル・スティールと申します。以後よろしくお見知り置きください。」 大理石を敷き詰めた広い玄関ホールに、この館の使用人たち9名がずらりと並んでいた。 「わぁ……。」 私と、そしてケイト様も思わず目を見開く。 執事さんといえば大抵は品のいい、少し枯れた感じの老紳士。といったイメージだが、ダニエルと名乗ったその執事さんは若くて、そしてとってもイケメンだった。 糸のような繊細な銀髪、切れ長の目に涼しげなアイスブルーの瞳、白磁を思わせる、ホクロひとつない綺麗な肌──── 20代後半と思われるその人は、執事じゃなくて国を追われた流浪の王子様を名乗っても、きっと誰も疑わないだろう。 「では、順に自己紹介を。」 イケメン執事のダニエルさまに促され、まず口を開いたのは銀髪のオジサマだった。 髪の色はダニエルさまと同じだが色にムラがあり、おまけに縮れている。どちらかと言うと小太りで、やや赤ら顔だ。 「館のシェフをしております。トーマス・クックです。」 女を当主に迎えることがよほど不満なのか、口をへの字に歪めたまま、不機嫌そうにオジサマはそれだけを言った。 「見習いシェフのダドリーっす、よろしくっす!」 オジサマの隣にいた若い男は、くすんだ金髪をガリガリと掻き、軽いノリでペコリとお辞儀をする。
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