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「あ、じゃあ最後あたしですね?えっと、あたしはカレン・リッジウェイといいます。この館のお掃除とお洗濯を担当しているメイドです。」
使用人たちのトリを飾った赤毛の少女は、庭師のカーペンターさんとは対照的に、とってもお喋りだった。
それはもう、私がケイト様に通訳するのが追いつかないくらいに。
「えっと、あたしは今15歳で、名前聞いたから分かるかもしんないけど、騎士のマシュー・リッジウェイはあたしの父さんです。父さんは若い頃からここのお屋敷にいて、あたしはここで生まれ育ちました。」
「……」
「それでですねー、ご覧のとおりあたしは赤毛で父さんは金髪なんだけど、それは何でかっていうと、多分、ここでメイドをしてたあたしの母さんが赤毛だったからだとあたしは思ってるんです。で、あたしとしてはそこは父さんに似て金髪になりたかったなぁ、と────」
「カレン!もうその辺でいいだろうっ!」
威厳のある低音で父親に諭され、というか叱られ、カレンちゃんのエンドレスな独演会はようやく終わった。
「これで自己紹介は終了です。さ、では皆さん、各自持ち場に戻ってください。」
パンパン、とイケメン執事のダニエルさまが手を叩き、9人の使用人さんたちはバラバラと散って行った。
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