かれーらいす?何ソレ美味しいの?

1/3
前へ
/37ページ
次へ

かれーらいす?何ソレ美味しいの?

「かれーらいす──というのは一体何ですか?」 「やっぱ、そうなるよねー。」 私のリアクションを見て、とっても残念そうにケイト様はがっくりと膝をついた。 館の新しいご主人様を歓迎する為にも、今宵はご主人様の食べたいものを──── ケイト様がヘロヘロになって辿りついた翌日、料理人トーマスさんの粋な計らいで、私はケイト様に食べたいものを尋ねる事となり、そして返ってきたのが「かれーらいす」なる謎のお料理名だった。 「この世界に呼ばれてから、あたし全然そーいうの食べてないんだよね。だから久しぶりに食べたいなぁ、と思ったんだけど。」 「あの……それは一体どのような料理でしょうか?」 「仕方ない、じゃ、あたしがレシピ書いたげるっ!」 何故か誇らしげに胸を張り、机に向かったケイト様は万年筆をカリカリと走らせ始めた。 待つことおよそ20分。コレで完璧!と言わんばかりの満足そうな表情で、ケイト様は私に羊皮紙を差し出した。 「どう?簡単でしょ?」 「えーと……」 簡単とかそういう話ではなく、より根本的な問題に私は直面していた。 彼女の故郷の文字と思われるその記号の羅列が、私には読めないのだ。そう、全く。 文字だから念話(テレパシー)も使えない。お手上げだ。 「どうしたの?」 「あの、コレ……読めません。」 「あ、そっか!ニホンゴだもんね!」 ケイト様はぽんっ、と手を打った。 ──── 結局、ケイト様が自分で書いたレシピを読み上げ、私がそれを書き写すことになった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加