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かれーらいす?何ソレ美味しいの?
「かれーらいす──というのは一体何ですか?」
「やっぱ、そうなるよねー。」
私のリアクションを見て、とっても残念そうにケイト様はがっくりと膝をついた。
館の新しいご主人様を歓迎する為にも、今宵はご主人様の食べたいものを────
ケイト様がヘロヘロになって辿りついた翌日、料理人トーマスさんの粋な計らいで、私はケイト様に食べたいものを尋ねる事となり、そして返ってきたのが「かれーらいす」なる謎のお料理名だった。
「この世界に呼ばれてから、あたし全然そーいうの食べてないんだよね。だから久しぶりに食べたいなぁ、と思ったんだけど。」
「あの……それは一体どのような料理でしょうか?」
「仕方ない、じゃ、あたしがレシピ書いたげるっ!」
何故か誇らしげに胸を張り、机に向かったケイト様は万年筆をカリカリと走らせ始めた。
待つことおよそ20分。コレで完璧!と言わんばかりの満足そうな表情で、ケイト様は私に羊皮紙を差し出した。
「どう?簡単でしょ?」
「えーと……」
簡単とかそういう話ではなく、より根本的な問題に私は直面していた。
彼女の故郷の文字と思われるその記号の羅列が、私には読めないのだ。そう、全く。
文字だから念話も使えない。お手上げだ。
「どうしたの?」
「あの、コレ……読めません。」
「あ、そっか!ニホンゴだもんね!」
ケイト様はぽんっ、と手を打った。
──── 結局、ケイト様が自分で書いたレシピを読み上げ、私がそれを書き写すことになった。
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