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僕は影だった。
真っ黒だった。
夜に起き上がり、夜に眠った。
光なんて浴びれなかった。
たった一つの影。
夜ではそれすら見えなくなった。
そんな人生、どうでも良かった。
それでも死ななかった。
体だけが、生きたがっていた。
そうしてある日僕の家を訪ねてきた。
彼女、そう、晴。
よく笑う子だった。
彼女は僕の、いや、この世を照らす日輪だった。
影だった、はずなのに。
僕は月だった。
誰かが居ないと輝けなかった。
そして、彼女の光を受け、僕は光り輝いてしまった。
僕は、影でなくちゃ、生きてる意味が。
灯を吹き消すことしかできない僕。
灯に照らされるのが怖かった。
影である事で、生きようとした。
ある日の任務、僕だけが、灯を消すのを躊躇った。
躊躇ってしまった。
「あははっ!僕は、俺の名は!月初!!」
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