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「窪田も聴いてみる?」
「いや、私は別に……」
興味がないので断ろうとしたけど、小野が片耳分のイヤホンを渡してきたので聴いてみることにした。
そこから聴こえてきたのは私でも知っている曲。男性目線の片思いソングで、少し前までやっていたドラマの主題歌だった。
「よし、聴いたな? これで窪田も共犯だからな」
こういうのを聴くんだと思っていた時、無邪気な笑顔を私に向けた。クールな印象だった小野が見せた不意打ちの笑顔。
その顔を見た時、私の心に衝撃が走る。
「な……、返す!」
「もしかして本気にした? 冗談に決まってるだろ」
恋に落ちるという言葉を聞いたことがあったけど、実際に自分が体験することになるなんて。
顔が赤くなっているのがバレないように、返した後はずっと窓の外を眺めていた。
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