今日もガンバるぞ!

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自宅に足早に帰り、私はリビングに着くなりメロンパンの袋を開けた。メロンの甘い香りが部屋中に広がり、表面は少しモチモチしたしっとり系で、一口口に含むと、中はフワフワで口の中でとろけそうだった。 あの雑誌に掲載されていたコメントは正しく本当だったのである。 確か…このメロンのコメントを書いてたのは、片林夏毅って書いてあった…メロンパンをこんなにも表現の出来たコメントを載せられるだなんてスゴイ! 私も食べることは好きだし…こんな雑誌の記者もいいかな… って思ったのが運の尽き…メロンパンの記事を書いてコメントを載せてた人がこんな人だったなんて… 人を濃き使うし…俺様だし…何より移動しまくりで一度会社を出たら夕方まで戻れない… ハードと言うしかないのだ… 「どうした…遅いぞ神藤…付いて来ないなら置いてくぞ」 「待って下さいっ」 タッタッタ 定期で切符を購入し、私は片林さんと電車に乗った。時刻は午前10時をとっくに過ぎていて、それ程車内は混雑していないが、片林さんのポリシーなのか、仕事中は座らないらしく、私だけ座るのも罪悪感があって車内で立ちながら手摺に掴まっている。 「俺に合わせずに座っていいんだぞ?」 「い…いいえ…平気です」 ガタンッ 「きゃっ」 ガシッ 「大丈夫か神藤…」 「は…はい…ありがとうございます」 「ああ…」 手摺に掴まっていたが電車の揺れに思わず手を放しそうになって、片林に支えられ倒れずに済んだ。 っ………いつも命令ばっかりなくせに…たまに見せる優しさに……ドキッとする自分が居る… ホント……顔はイケメンなのに…性格が……私的には残念なヤツ… 片林さんは会社でも人気があって…狙ってる女子社員は多いって噂に聞く… 確かに…私も話をしてるのを聞いたのだ。 「片林さんって素敵よね…」 「そうそう」 「私なんて荷物を持って貰ったことがあるもの」 「良いなあ…」 ザワザワ ガヤガヤ 「…藤…神藤」 「っ!は…はい」 「次の駅で下車するぞ。取材する店は駅近くだ」 「はい…」 ザワザワ ガヤガヤ ガアー スウッ ザワザワ ガヤガヤ 「確か……七野宮方面の降り口は右側だったな…」 スウッ 「ええっ!」 そう……命令ばっかりだから残念と言う分けじゃなく…片林さんはすごい方向音痴だったのだ。 タッ 「待って下さいっ、七野宮方面は左側ですっ、ここから出たら真逆なんですっ」 「!?…マジか…悪い…」 「いいえ…行きましょう…」 本当に疲れる……毎日これの繰返し……
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