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家の鍵(4)
私の考えにお構いなしと少年はどんどん、人体模型に近づいて、遂に人体模型の目の前まで来てしまった。
少年と人体模型の距離は私の歩幅で2歩ほど……もしかしたら、それよりないのかもしれない……
私が心配をしていると少年が喋り出した。
「こんばんは、人体模型さん…初めまして。突然ですが………人のもんに何してくれんの?
人体模型さんよ?」
声の調子が明るかったのが一変して、ドスの効いた声になった……
「ガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチ」
人体模型の動かない筈の口が上下に動き出している……
声にはなってないだけで何か喋っているつもりなのだろうか?
「ガチガチガ!!!」
次の瞬間何か気に障ったのか人体模型は勢いよく少年に飛びかかった。
「危な……い」
その、少年は飛び掛かられた瞬間、“空中”に浮いたのだ……
もう一度言おう……“空中”に浮いているのだ。
空中に浮いてる為少年に怪我は無いようだ。
それはとてもいい事なんだが……
「えっ……はい?」
私の頭はキャパオーバーしてしまった。
「俺のもんに手ェ出したんだ……痛い目あってもしょうがねぇから……ちょいと覚悟しろよ?」
そう少年が言うと、何処からか分からないが鉄パイプを手に取っていて、その鉄パイプで人体模型を殴った。
ドゴッ
殴られた勢いで人体模型は少し遠くに飛び壁にぶつかった。
かなり痛そうだ……
「ガ…チガチ」
人体模型はゆっくり立ち上がった。
まだコイツ立ち上がるのか!しつこい!そして、思いっきりこちらに走ってきた。
しかし、少年は冷静なのかまた、空中に浮いて、人体模型の
頭を狙い、また鉄パイプで殴った。
ビッ……ビキビキ
人体模型から嫌な音が鳴る。
そして人体模型は崩れ落ち、消滅してしまった……
まるで、最初から居なかったかのように……
夢だと思いたいが、あんな“非現実的”な光景を見てしまって現実逃避は出来ないだろう。
人体模型が完全に消滅すると少年はこっちに向かって飛んできた?……途中壁を擦り抜けながらだけど……
「つんちゃん!怪我はないか!」
「え……あっうん怪我は無いです。助けてくれてありがとう。」
「!いやいや、これくらい大丈夫さ」
「あの……」
「何だ」
ずっとあった時から気になっていたんだ……
「私達どこかで会ったことありますか?」
「え…………あっ、ごめんな、俺の知り合いでな、お前そっくりな奴がいて……つい、ごめんな」
そう言うことなのか……なんだてっきり私の事を知っているのかと思った。【七々扇 紬】からとって【つんちゃん】と呼んでいたのかとてっきり……
「そうですか……あの名前なんて言うんですか?」
命の恩人の名前は是非とも知りたい、そしてお礼もきっちりしたい。
「俺の名前は………えっと…」
少年は、もの凄く考えはじめた。
普通、名前くらいでそんな考えるかなぁ…
「どうしたの?」
「その、思い出せねぇんだわ…….つんちゃんなんか名前つけてくれないか?何でもいいから、急でごめんな」
「え、私が決めるんですか?」
「ああ、お願いな」
どうしよう…私が命の恩人の名前(借)を決めるなんて……センスがないのにどうしよ…
「……じゃあ、千隼はどうですか?」
「 千隼か……ありがとうな、つんちゃん!
………その言うのが遅いんだが俺怖くねぇのか?」
「……確かに、空を飛んでいて、意味の分からない人体模型を簡単に倒せる人は普通怖いですけど……
貴方は何故か怖く無いんです。ただ、それだけです。」
「そっか……」
「そのちなみに聞きますが……やはり“幽霊”ですか?」
「ああ、その通り!俺は幽霊さ」
ゆっ幽霊!?
いくら、何でもそれは……
「いやーーーーーーー」
私は全力で校内を走りまわった。
「あっ!ちょっと待ってくれよ!つんちゃん!!」
こうして、私の奇妙な学校生活が幕を開けたのだった。
私は、安全に学校生活を送れるのだろうか………
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