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静御前には、中天、全丸、兼守という雑色男がつけられた。ガードマンである。
しかし悲劇は山中の夜に起こった。
「よう、全丸。やるなら今しかねーな。たんまりと頂こうじゃないか」中天は下卑た笑いを浮かべた。
「御前が都で苦労しないほどの金銭だ、九郎様の与えた金じゃ、しばらくは楽な生活ができる」
雑色どもは、山中の道で立ち止まり、静御前を襲った。
静御前は、着物まで剥ぎ取られ襦袢姿で、あられもない姿になって朝を迎えた。
しかし彼女は気丈であった。着ぐるみ一枚で、山道をあてども無く歩き、藤尾坂の蔵王堂にいるところを、土地の執行坊・亜天に発見される。
「貴方様はもしやして?」
「はい、九郎太夫判官義経の妾、静です」
「な、なんと・・・」
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