静御前の悲劇

8/8
76人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
現代の鎌倉・七里ヶ浜。 「ぎゃー!」阿鼻叫喚の叫びが砂浜の風にかき消された。 鎌倉・七里ヶ浜の海。静御前は、我が子が殺されるのを半狂乱で這いつくばっていた。 静御前の赤ん坊は、今、幕府の家臣、安達清経の手で、静の母、磯禅師から奪い取られた。 海の水に沈められようとしているのであった。 「いやあ! 九郎さまと私の赤子!! ぎゃああああ!」 ザブ、ザブ、清経の家臣が赤子を抱いて、水晶色の海に分け入っていく。 静御前は、半狂乱のまま気絶した。 小さな命は、消え入るように海底に沈められた。 静御前の行方はその後、杳として知られていない・・・。 サーファーや海水客で賑わう。かつてここが悲劇の場所であったことを知るものは少ない。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!