恋の操り師

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 ライドに乗っている間、彼女は興奮しっぱなし。飛行機の翼に乗って敵を追いかける場面では、叫び声まで上げていた。 「あー、エキサイティング! 私、トム・クルーズのこのシリーズが大好きなの」 「すずさんに喜んでもらえて嬉しいですよ」  続いて、彼女はスター・トレック・ザ・ライドへ走った。  私も懸命に走った。   真っ暗な空間をライドが走る。とたんに四方八方から光の洪水。 「きゃあ、惑星間ワープよ」   何とノリのいい人だ。そばにいると私は少し恥ずかしい。  異星人とのバトルのあと、急降下して海へ落下。水しぶきに悲鳴を上げると、明るい外界へ無事脱出。 「これもいいわあ! 噂よりずっと楽しい」 「ええ、とても楽しめますね」  このペースが一日中続くかと思うと、私には先が思いやられた。 「あー、あれが一番乗りたかったのよ」  彼女が指さす先には、インディ・ジョーンズの冒険のジェットコースターがあった。   私は身震いした。あれは一回転どころではない。あの高さで、しかもあのスピードで疾走するなんて。地上で見るだけでも恐ろしい。 「ねえ、光平さん。早く並びましょうよ」
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