思い出す

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 ミリアの前世はゲーム会社の社畜であった。  担当部署は開発部・・・  故に母親の顔を見て、瓜二つであろう自分のことに気がついたのである。  珍しいストロベリーブロンドに、濃い紫の瞳で名前はミリアンヌ。  神童と言われ続けて、最終的に大聖女になり魔王の魔の手から世界を救うのである。 『うええー面倒くせえ! 何だってこんな面倒くさい転生したよ俺? 』  しかも前世は男。  顔の造作はどうあれ、侠気のあるオトコマエの男であった。  女は男が守るものであるーーそれがモットーだ。  まあ、そのせいでゲーム開発部署の女性職員に弄られたし、残業も押し付けられて敢え無くポックリあの世に行った。  合掌。 『うーん、どうすっかな。女に生まれちまったしなあ~王子とか、皇子とか居たなあ~、騎士団長の息子、宰相の息子、魔道士長の息子、王弟、隠しキャラで魔王だっけか。後は、悪役令嬢がいっぱい・・・』  赤ん坊の時の熱など、割と身体に負担にならないので、水分補給をされながら考えるミリアである。 『コレって基本恋愛ベースの乙女ゲーだよな~・・・ やべえ。俺の意識が男前過ぎる。男を好きになれるとは思えん! うえっ』  想像して思わず気持ち悪くなった。 「ミリアちゃんがビクビクしてる!  どうしましょう~」  ううう、と泣きそうになっている母親を気遣って、頭を撫でるミリア。  前途多難な気がするのは気の所為だと思いたい。
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