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承認式を明日に控えた真夜中の国王の執務室である。
「大体、フィルのバカタレが考え無しで日程を組むからこういう事になるんじゃよ!」
お爺ちゃんがプンスコ怒っている。いや、呆れている?
「「スイマセン! 百年近い昔の頃の資料しかなくて!」」
国王と宰相が土下座中である。
「ちゃんとワシに相談しなさい。それと、帰ってこれたからいいもののミゲルが王都にいないのにどうやって承認式をするつもりだったんじゃ?」
煙管を一息吸うとプカァと煙を吐き出しながら眉根を寄せるお爺ちゃん。
「「面目次第も御座いません!」」
はあ、とため息を付きながら国王の執務室のソファで頬杖をつくお爺ちゃん。
「しっかりするんじゃよ。確かにミリーは規格外の聖女ではあるが、同時にミゲルが聖王として存在するのだから何も気にせんでええんじゃよ」
「「?」」
「見たところ、あの子らは2人で1つなんじゃ。お互いにない部分と過剰な部分を補い合う者同士じゃ。2人揃えばそう心配することなんぞ起こらん」
「しかしあの魔法の片鱗が・・・」
「【再生】と【復活】かのう?」
「はい、諸外国に知られる前にと・・・」
はあ、ともう1度ため息をつく大神官。
「阿呆!」
ビクッとして思わず抱き合う2人。
「本来『聖王』も『大聖女』もそれが使えるのが当たり前じゃバカモン!」
はぁ? という顔になる国王陛下と宰相閣下。
「え、でも・・・」
「ワシでも使えるわい。ホレ」
ヒラヒラと体の前で手をかざすと、そこに立っていたのは小さな白い髭のおじいちゃんでは無く若かりし頃の人外美形@大神官様であった。
「「え、どちら様?」」
「『時間魔法』と、『再生』と『復活』が揃えばこのようなことができるんじゃ!」
大神官の言葉と共に2人共が煙管で頭を小突かれたのは言うまでもない・・・
「フィル、お前この姿のときにオムツ交換してやった事も忘れおってからに・・・ モースお前もじゃ! 鼻垂れでビービー泣いておったじゃろうが!」
「「ひえええ~!」」
暫く説教が続きそうな予感は多分、きっと、はずれないだろう。
夜は長い。
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