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 聖女や聖王の『承認の儀』は各国に対してのお披露目という意味合いが強いが、生まれた家の家格とは関係のない身分をこの世界そのものより賜る事を知らしめる儀式でもある。  ミリアンヌはアークライド姓、ミゲルはハイドランジア姓を捨て神の姓である『ルクス』を名乗る事になる。  つまり神の子供、神の家族になるという事を発表する場でもあるという事だ。  これを経た後、彼らは目に見える権力は有しないが、国のトップである国王や皇帝等と同列かそれ以上の存在として認められる。  因みに余談だが、各家の家系図から2人は抹消されるのではなく姓がセカンドネームの様に間に入った形で表記される事となる。つまりミゲルの場合は、『ミゲル・ハイドランジア・ルクス』となり、ミリアの場合は『ミリアンヌ・アークライド・ルクス』となる。  この儀式以降は身分制度や家格による婚姻の強制は全くなくなり、生涯独身を貫くも良いし伴侶を得て結婚する事を選んだとしても『聖なる者』の資質そのものには無関係なので本人の意思が最優先される。  まあ、身分制度そのものから逸脱する存在の彼らに対する婚姻の申込みは誰でも自由となり罰則はないのだが、本人に受付けて貰えるかどうかは別ということでもある・・・  ただ、聖女や聖王が生涯独身を貫く者が歴史的に多いのは普通の人以上に長生きする者が大多数だからだと言われている。  誰しも愛するものが先に失われて行くのを見守るだけは辛いだろうと云うのが定説である。
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