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ミリアは杖を、ミゲルはサーベルを両手に持つと目を閉じようとしたが、
「まずはミリアンヌからじゃ。2人共互いの祈りを可視化するのじゃよ。目を開けて互いの違いをしかと見届けよ」
そう言われて目を開ける。ミリアが一瞬だけ小首をかしげてから
「では、私から」
そう言うと頭の中心に集中して溜めていた祈りのエネルギーを開放した。
金に輝く結界石を中心に金色の光の柱が音もなく立ち上がる。件の森の『聖女の癒し』と同じものである。
ほお、と会場のあちこちから小さな声が聞こえる。
「次はミゲルじゃ」
「はい。では」
ミゲルもミリア同様に祈りのエネルギーを開放する。
今度は六角の柱を中心にさざ波の様に床を金の光が埋め尽くしていく。その様はまるで金色の雲が敷き詰められたように見える。件の畑の時と同じである。
高さは大人の膝くらいまであり、表面がユラユラと揺れており、観客たちも神官たちも全員が金色の雲の上に立っているように見えた。
『『形が違うじゃん?』』
2人が首を傾げると大神官が
「では次に2人で向き合って両手を繋ぎなさい」
そう言うとニヤリと笑った。
先ずミゲルはサーベルを鞘に戻し、ミリアはロッドを小さくして首からかける。
そしてお互いに首を傾げながら手を繋いだ途端に金の光が聖堂中に満ち溢れ、あっという間に天井まで満たしてしまった。
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