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階段を登り切ると、正面に低めの柵がされているのが目に入った。
「防音の魔法陣を解くわよ」
「「?」」
お爺ちゃんがそういった途端大勢の人の声が押し寄せるように一気に聞こえてきた。
柵に近寄ると眼下に大勢の王都民が押し寄せており、こっちに手を振っているのが見える。
「うわっこんなに人が・・・」
「ここんとこ転移門での移動だったし、防音の魔法陣のおかげで気が付かなかったでしょうけど朝から凄かったのよ」
大人も子供も関係なく笑顔で皆がこっちに向かって手を振っているのが見える。
等間隔に爽やかな薄い空色の騎士服を着た男性たちがチラホラ見える。街の警邏を専門にする第3騎士団のようだ。
「アンタ達2人がお目当てだからね。手を振り返してあげなさい」
ミリアとミゲルは頷くともう1歩前に進み出て手を上げると人が波のように一斉に動いて頭を下げる。
「2人一緒に聖なる祈りをするんじゃ。それでこの式典そのものが終了するからのう」
後ろの階段から神官達がやってきた気配で早速口調が元に戻るお爺ちゃんに、2人が笑いを堪える。
「「すごい早業!」」
「100年もやったら馴れるわい」
フンッと鼻を鳴らす聖王様である。
「ホレ、はようせんかい」
「「分かった」」
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