平和への感謝

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 ミリアはロッドを、ミゲルは剣を手に持つと床を『トン』と打ち鳴らす。  ミリアたちの足元にメルヘンが大聖堂で見せたような光の帯が人々の方に向かい四方八方に走っていく。  まるで金色のカーペットが皆の足元に転がっていくようにも見えるし、金色の道が現れるようにも見える。  金の帯から煌めく光が立ち登り人々を包んでいく。空から金の雪が降り始め、小さな鈴のような音があちこちに舞う雪から聞こえ始める。 『おお~』とか『凄い』とか様々な声が聞こえ始め皆が手を伸ばして金色の雪を触ると手の中でそれが消えるのを見入っている。 「今日からミリアもミゲルもそしてメルもこのハイドランジアの聖なる家族の一員じゃな」  お爺ちゃんの楽しそうな笑いが空に響く。 「そうだな」  ミリアの肩に手を置き、グッと力を入れるミゲルを見上げると蕩けるようなラピスラズリの瞳がこちらに向けられていた。  何気に色っぽいその顔を真正面から視界に入れた途端。 『ボヒュッ!』  という音が聞こえそうなほど顔が猛スピードで赤くなってゆく・・・  あれ? 明日からどうなるんだっけ・・・  聖女と聖王って基本的に神殿に住むんだったよね?  同じ姓になって、家族って。  あれ? あれ? あれえ?  ミリアの戸惑いを他所に金の雪が王都に優しく降り続くのであった・・・
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