四六時中も好きと言って。

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四六時中も好きと言って。

 産まれてすぐ自分が転生者だと気がついた。  しかも前世はれっきとした成人男子で、自分が作ってた乙女ゲームの世界じゃないか?  プレイしてないしストーリーなんか知らないよ。スチルが立ち上がるかどうかのチェックとメンテナンスばっかでバグ取りが日常業務だったし。  なのにそのままボンヤリ生きていたらトンデモナイ未来が待ち受けている筈の乙女ゲームの主人公の美少女だよ。  うええ。  兎に角頑張って身体を鍛えて魔王を駆逐しよう!   王太子の嫁で将来は王妃とか冗談じゃねえ!  宰相の息子も王宮魔導師長の息子も、騎士団長の息子も、帝国の皇子もスルーだスルー。  結婚を回避する為には聖女を目指して、それでもって神殿に駆け込んで一生独身を貫き通し老後は猫を膝に抱いてお茶をすすって日向ぼっこするんだ!  白い壁。白い窓枠にはめ込まれているのは、美しい天使の姿と白い百合の花を模したステンドグラス。  開けた窓からレースカーテンを揺らして優しいそよ風が入って来ると、プラチナベースに薄っすらとクリームイエローとピンク色の光沢で輝く美しいストロベリーブロンドが風を受けてサラサラと揺れた。  ミリアは今では、怪しい謎の呪い文字にしか見えない『日本語』で綴られた鍵付きの日記をパタンと閉じると、引き攣りながら微笑んだ。
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