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向日葵の咲く頃
あの日あの時私は打ちのめされた
見上げ過ぎて太陽に焼かれた向日葵のように
私を特別だと思っていた私は死んで
何者でもない私だけが取り残された
「すみません」
朗読劇の説明会があるとなっていた小講堂に向かうと人がまばらになっていた。
やっぱり、もう終わってしまったみたいね。
「あ、日向菊さん。朗読劇の生徒会参加枠ですか?」
「はい。仕事が終わらなくて遅くなってしまって……」
「大丈夫ですよ。はい、こちらがプリントになります。段取りは去年と同じですので」
「ありがとうございます」
椛先輩からふわりとした仕草で渡されたプリントを受け取ってサッと目を通す。
題材は去年とは流石に違うのね。
「あら?」
「ん?」
椛先輩の声に顔を上げる。
「どうしました?」
「ふふ、今年の生徒会はお二人、参加かしら」
「二人……?」
私の他に出るような人いたかしら。
その視線は私の後ろを見てたので振り返る。
「……会長」
「あ、や、その……」
「来年は演劇部の催しには参加しないって言ってたのはどこの誰でしたっけ?」
「うっ……」
会長はモジモジと髪を弄り出す。
「……あぁ、そういう事ね!」
椛先輩は何か納得したようだ。
「やっぱりね〜。ふふ、それで、桜木生徒会長さんはどうしますか?」
椛先輩が意地悪そうな笑みを浮かべてる。
「さ、参加……し……しま……すん……」
「どっちよ……」
すん、て。
「参加……しま……す……!」
なんでそんな苦しそうに言うのよ。
「ねぇねぇ」
生徒会室に戻る道すがら、髪を弄びながら会長は話しかけてきた。
「何?」
「葵ちゃんはなんで今年も参加しようって思ったの?」
「朗読劇?」
「イエースッ」
何、その陽気なアメリカ人みたいな両手で指差す変なポーズ。
とは、口では突っ込まないけど。
「別に理由はないわよ。誰も参加したがらなかったじゃない。なら、私がやろうと思っただけよ」
「ダウツッ」
だから、何その変なノリ。
「あとはそうね。向日葵畑……」
「あ、孤児院で育ててるやつ?あれ素敵だよね!」
「ふふっ……そうね」
そして、懐かしい記憶を呼び覚ましてくれる。
あの子と出会いを。
「それで、会長はどういう風の吹き回し?去年に、もうやらない!って言い切ってたのに」
「そ、それは……その……あ、あれですよ!主のお導きが……!」
「へぇ〜……フッ」
「あっ!鼻で笑ったー!」
「失礼しましたね〜、敬虔な信徒さん。ま、あなたがいるなら今年も楽しみね。ふふふっ」
「ぐぬぬ〜……」
去年の事は今でも思い出せる。
会長と……いえ、舞と初めて会ったのが、この朗読劇だった。
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