向日葵の咲く頃

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説明会が終わって、パラパラと席を立つ人もいる中でメモした内容を整理する。 朗読劇って初めてだけど、演劇部の発表の場でもあるから、しっかり練習もするし、何とかなりそうかしら。 「ふーん、綺麗な字を書くね」 「えっ?……わっ」 顔を上げると、鷲黒会長が私の手元を覗き込んでいた。 「うん、君、是非書記をやってくれないかい?そしてこちらの彼女は庶務をやるとことになってるから色々フォローしてあげて欲しい」 「えっ?」 「うん?」 私と会長の後ろにいた桜木さんから声が上がる。 彼女も初耳のなのね……。 「いや~、学校に馴染むには生徒会が手っ取り早いし、書記と庶務のポジションは現在空いてるんでね」 「わ、私が生徒会に……ですか?」 桜木さんが自分を指差しながら確認する。 傍から見るとこれってアホっぽいわね。 私も動揺しているが桜木さんの方が動揺が大きいみたいで取り乱さないでいられる。 「嫌かい?学校にも慣れるし、内申もアップするしお得だと思うのだが」 「お得かどうかでは無いと思いますが……」 一応ツッコミを入れておく。 「あと、私にも会い放題だ」 鷲黒会長が肩に手を置いて囁くように言う。 「生徒会……生徒会か~……」 会長のファンなら悶絶してるだろうが、桜木さんはブツブツ言いながら何か考えているみたい。 鷲黒会長はスルーされたせいで少しフリーズしていた。 「ま、急いで決めなくても良いよ、新学期までまだあるしね。君も考えておいてくれると嬉しいなっ」 「は、はい」 急にウインクを飛ばされてドキッとしてしまった。 人気の理由が改めて分かるわね。 その仕草、立ち居振る舞いから、見られてるのを意識して人の目を引き付ける。 まさにカリスマ的な人。 私にはないモノ……。 「それじゃ、失礼するよ。桜木さん、校舎の案内の続きをしよう」 「あ、はい」 鷲黒会長は颯爽と廊下に姿を消した。 「あ、あの、桜木舞です。よろしくお願いします」 「日向菊葵です。よろしく」 パッと華やぐような笑顔を浮かべて一礼をして、桜木さんも会長の後を追っていった。 1つ上の先輩で柔らかな笑顔一つで周りを惹き付ける椛先輩とはまた違う魅力を持つ人だな。 私には、そういう魅力が無い……。 い、いや、そんなの関係ない。 さっきからないモノばかりに考えがいってしまってる。 『パチン』 軽く頬を叩いて思考をリセットする。 私も生徒会長を目指すんだから、生徒会入りを断る理由はない。 これはチャンスなんだから、ちゃんと掴まないと。 「よし、今度会った時にはちゃんと言おう」 私は決意を固めるように勢いよく立ち上がった。
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