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「はぁ~…………」
地の底まで落ちていくような重い溜息が出た。
「はぁ…………」
溜息をついてる事にまた溜息を吐いて、無限ループに陥る。
溜息を吐く度、握っているフェンスがギシギシと軋んで鳴く。
こんなはずじゃないのに。
こんな私じゃダメなのに。
「ダメなのにな……」
「何がだい?」
「……っ!」
突然横から声がしてビックリした。
「こんな天気の良い屋上で、景気が悪そうな溜息を吐くものじゃないよ」
声がした方を見ると、鷲黒会長が側のベンチの背もたれに寄っかかりながら、眩しそうに空を見上げていた。
「鷲黒会長……」
「やぁ、仔猫ちゃん。屋上もこの季節は流石に暑いね」
髪をかき上げつつそんな事を漏らす仕草が様になり過ぎてて見蕩れてしまう。
「そ、そうですね……」
視線を向けられて、慌てて反らす。
なんでこんな所にいるんだろう。
今日は生徒会の仕事で朗読劇の練習にも顔を出していなかったはずなのに。
「どうして、私がこんな所にいるのかって?」
「っ!?」
心を読まれた!?
「あははははっ!そりゃ、気になるよね」
気持ち良さそうに南風に笑い声を乗せる。
「ただのサボりだよ。私もね、どうしようもなーくサボりたくなる時もあるのさ」
「か、会長がですか……?」
いつでも理路整然としていて、泰然自若、余裕綽々そうなのに。
「そんな風に思ってもらえるのはありがたいけどね。皆がみんな、同じ私を、生徒会長を求めているわけじゃないんだよ。だから、たまに疲れてしまう時もあるんだ」
「どういう意味ですか?」
鷲黒会長は私と並んで立って、ふーーっと長い息を吐いて、空に腕を伸ばして伸びをする。
普段ではこんな姿想像は出来ないけど、すごく会長らしい仕草に感じてしまう。
「うーん、説明するのは簡単だけど、理解してもらうのは難しい感じだね」
「は、はあ……」
さらに疑問は深まった。
「君も難しく考えすぎるんだよ。周りは意外と何も考えてなくて、世界はとてもシンプルだ」
「だから、どういう――」
「会長ー?どこですかー?」
突然、下の階から声が聞こえてきた。
「おっと、サボりもここまでみたいだ。また、朗読劇の練習でね、仔猫ちゃんっ」
私のおでこを人差し指で軽く押して、屋上のドアまで駆けてけていくと手を降って、その姿を消した。
人差し指が触れた所に手をやって、ただ会長の言葉に思考を浸した。
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