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「佐門殿…」
村の人々は口々に佐門に声を掛けた。
佐門は握った拳の中で爪が食い込むのを感じていた。
「佐門殿…」
佐門がその声に振り返ると、隣村の兵衛がそこに立っていた。
そして、息絶えた老人の傍にしゃがみ込み、息絶えている事を確認した。
村の人々は燃える老人の家に桶で水を掛けていた。
兵衛は納屋の前で死んでいる四人の盗賊に気付き、佐門に訊いた。
「あれは、佐門殿が…」
佐門は燃える家を見ながら頷いた。
「兵衛殿…。此処に炉を作って下さい。そして人手を揃えて下さい」
佐門の言葉に、兵衛はコクリと頷いた。
「明日にでも準備に掛かります」
兵衛はそう言うと老人の家の庭から出て行った。
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