善悪の剣

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兵衛が揃えた人々はあっという間に老人の家があった場所に刀鍛冶の工房を造りあげた。 そして、若い刀鍛冶を集め、佐門の下で働かせる。 近くの山で質の良い鉄が採れる事もわかり、良い刀を作りあげていく。 それだけではない。 佐門は刀を打つと同時に、村の若い衆に刀の使い方を教える。 「良いか、刀は動けなくするために使え。長い得物は横からの力に弱く、折れやすい。殺す時は短刀で敵の首を斬れ」 大勢の若い衆は声を揃えて佐門に返事をした。 その横で、兵衛は険しい顔で佐門を見ていた。 川で身体を洗う佐門の傍に兵衛は立った。 「佐門殿…」 佐門は振り返り、兵衛に微笑んだ。 「兵衛殿…。そなたも一緒に水浴びはどうだ」 兵衛はコクリと頷くと褌一枚になり、川の中に入って来た。 「鍛冶屋ってのはどれだけ洗っても鉄の匂いが取れんな…」 佐門は兵衛に微笑んだ。
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