6人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「坂本竜馬殿に面会をお願いしたい」
男は小さな声で言う。
「そなたは…」
山田藤吉は男たちを睨む様に見て訊いた。
「十津川郷士でござる」
男はゆっくりと頭を藤吉に下げた。
「十津川…。十津川衆が何の用事だ…」
藤吉は男たちを押し出す様に身体で押しやった。
「坂本さんは風邪をひいて寝ておられる…。また、日を改めて訪ねてくれ」
藤吉はそう言うと、近江屋の玄関の戸を閉めようと手を掛けた。
その戸の隙間に十津川衆を名乗った男は刀の柄を差し込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!