善悪の剣

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「坂本竜馬殿に面会をお願いしたい」 男は小さな声で言う。 「そなたは…」 山田藤吉は男たちを睨む様に見て訊いた。 「十津川郷士でござる」 男はゆっくりと頭を藤吉に下げた。 「十津川…。十津川衆が何の用事だ…」 藤吉は男たちを押し出す様に身体で押しやった。 「坂本さんは風邪をひいて寝ておられる…。また、日を改めて訪ねてくれ」 藤吉はそう言うと、近江屋の玄関の戸を閉めようと手を掛けた。 その戸の隙間に十津川衆を名乗った男は刀の柄を差し込んだ。
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