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「そうだね。今日から堤さんは夢を見ることができる。同時に、普通の人間らしく行動していくだろうね。今頃は冷房をつけながら部屋でくつろいでいるかもしれないね」
「そうですね……」
そう言いながら、飯野は書類をさっとまとめて篠ノ井に手渡す。
「こちら、今日の分になります」
「うん、ありがとう。今日もお疲れ様」
「はい、お疲れ様でした。お先に失礼します」
飯野が部屋を出ていこうとしたところで、篠ノ井が呼び止めた。
「つまらないことを聞くのだが、人間がDSSになることってあると思うかい?」
「ありえませんね」
飯野は部屋の方へ振り返ることをせずに、篠ノ井に背を向けたまま返答した。
「そうだよね。最近夢を見る機会が減ってしまってね……疲れているのかもしれない」
「先生、お忙しいですもんね……。今度ゆっくりお休みを取ってみてはいかがでしょうか。きっと夢も見られますよ」
「そうだね……ありがとう。呼び止めて悪かったね、お疲れ様」
「お疲れ様です」
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