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「ーー本当はスマホで写真撮るんじゃなくて、カメラで撮りたいんだよなあ」
スマホに表示されていた綺麗な青空の写真を眺めていた陽貴がボソッとそんなことを話すので、俺は話しかけた。
「そうなの?」
「うん!画質もいいけどそれでもスマホのカメラでは限られてくるからね。でも、家に写真を置けないから…」
「えっ?」
「あ、家族写真とかは置いても大丈夫だよ?でも青空とか風景の写真とかは置けないんだ。俺のお父さんその類の写真毛嫌いしててね」
「えぇー…。何それ」
どゆこと?と俺は眉を顰め首を傾げた。意味がわからない…
「だから不便で仕方なくてさ。俺のスマホ内になら写真は置いておけるから安心なんだけどね。家に置いといたらソッコーで捨てられるし」
「マジか…もうスマホ頼りだな。家には置けないし。なんでお父さん写真が嫌いなんだ?」
「……さあねー、でも俺のお父さんのおじいちゃんは反対に写真マニアだったみたい。おじいちゃんの家空や風景の写真だらけだったからね。もう全部の写真捨てられちゃったけど」
「えっ?」
「あ、おじいちゃん随分前に亡くなって遺品整理の時にね」
さらりと凄い事を話され俺は何も言えなくなる。…なんか陽貴のお父さん変わってるよな。まあ遺品なんてもの置いておいても仕方ないからなのかもしれないけど。
「いくらなんでもおじいさんの大切にしていた写真を捨てるのなんかやり過ぎな気が…」
「そう?翔太くんは優しいねー」
陽貴が面白そうに笑い、言葉を続けた。
「…捨てられて当然の事をしていたからじゃないかな」
陽貴が妙な事を話すので俺はますます???となって陽貴を眺める。一瞬どこか遠くを見つめていたような感じがしたがすぐにいつもと変わらない表情に戻っていたのでよく分からなかった。
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