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そして4月5日、1人の転校生がやってきた。
『ーー速水陽貴と言います。よろしくお願いします』
そう言いニコッと笑顔を向ける速水は暗めの茶髪の髪色に灰色がかった瞳の色をしていた。
『校長の冨永です。こちらは速水くんのクラス担任の宮本先生です』
校長室にて、校長先生が速水にそう話しかけ、宮本も紹介する。宮本が速水に対し会釈すると速水も小さく会釈し、「お願いします」と口にした。
『あの、これ』
『あ。はい』
速水が学校に必要な書類が入った封筒を校長に渡し、受けとる。その様子を宮本はぼーっとしながら眺めつつふと思った。
(…速水は変わった感じがしないな。違和感がない)
そこまで考え、いやこれが通常なんだし。むしろ雪坂みたいなのが転校生として来たこと自体異端だったんだろうなと宮本は改めてそう考えさせられた気がした。
『じゃあ宮本先生、あとは頼めますかね』
『はい』
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校長先生からの説明も終わり、宮本は速水を連れて学校内を案内する。
『ーーこんなもんかな。あ、それから屋上があるが』
『あー、屋上ですか……、今はいいです』
『いいのか?』
『はい。外花粉飛んでますし…。俺、花粉症ちょっと酷くて』
『だからマスクしてるんだな』
なるほど、といった感じに宮本が速水を見つめると速水はマスク越しに苦笑する。花粉症も大変だよなと宮本は速水を気の毒に思った。…とかいう宮本自身もマスクをしているのだが
『以上で終わりだな』
『ありがとうございました』
速水がペコリと頭を下げお礼をいう。礼儀正しい生徒だなと宮本が考えていると再び先生、と速水に話しかけられた。
『なんだ?』
『ひとつ聞きたいことがあって、』
『…?』
宮本が首を傾げ速水を見つめると速水は目を少し細め口を開いた。
『……もしかして俺の前にも誰か転校生来てましたか』
『え、?』
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