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そんな一連の出来事について頭の中で思い浮かべ、宮本は作業していた手を止める。
『先生って誤魔化すの下手ですね』
速水が言っていたその発言が頭を過り、宮本は片手で顔を覆い考えこんだ。
「……」
あいつは、速水は…、一体なんなんだ?
あんな言葉が出てくるのだから、速水はこの高校に転校生が来ていたことを知っているのか
だとしたら何故、そんな事を聞いたのか
「……分からねえ」
速水が何を考えているのか全くわかる筈もなく、宮本は途方にくれていた。
ただひとつ言える事は、なんとなくだがあまり速水に関わってはいけないような気がしたということ。そこら辺は教師でよかったなと宮本は一安心をする。
(あれ以来特になんも速水聞いてこないし)
速水が居るクラスの担任なのは気が引けるが、必要最低限の事をしていればあまり関わる事もない。
宮本は両手を上に伸ばしううん、と伸びをした。手を伸ばしつつふと、思った。
(高瀬と仲が良さげなのは少し気になるから少し声は掛けたが。ただ、高瀬はもう雪坂の事を忘れてしまっている感じだし大丈夫か)
あんなに仲良かったのに、呆気なく忘れてしまうもんなんだな。
「……なんだかなあ」
高瀬の気持ちを考えるとなんだか居た堪れない気持ちに宮本はなったのだった。
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