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それから慌ただしく職員会議が進み、やっと昼休憩の時間になった。自席で机の上に広げている書類を片付けていると「宮本先生」と校長先生が話しかけてきた。
『…はい』
『先月末にチラッと話していた転校生のことなんだけど、3日に編入試験や面接受けてそれから制服とか渡さなくちゃいけないし5日に事前に学校来ることになってるから…、忙しいのに申し訳ないけどその日、頼めますかね?』
転校生…と宮本ははて、と考える。頭の中にある1人の人物の名前が思い浮かんだ。
"速水陽貴"
8日に転校生としてこの高校にやってくる人物。
小さく頷くと校長先生は困ったように笑った。
『ほんと、すまないね…。転校生なんてこの高校私の知る限りでは来たことなかったけど、宮本先生も初めてのことなので緊張しているでしょう?』
『あ、転校生は別に……いや、緊張しますね』
『私も最初の方は居ますし肩の力を抜きつつ、ね?』
そう優しく微笑んだ校長先生は職員室をゆっくり出て行った。職員室の出入り口付近を静かに眺めた宮本は再び机の上の書類へと向き直す。
(…やばい。転校生は別に前にも来てるから慣れてる、って言いそうになった)
これからは気をつけないとな、とひと息つき宮本は頭を抱えた。しかし、
『……』
雪坂のことを覚えているのは自分だけだろうか。だとしたら何故自分だけ記憶に残っているのか?
『あ、』
そうか
自分には他の人にはない''あの力"があるからか。
持っていた所で余分で、しかも邪魔でしかないアレ。
『…なんで持ってるんだろう』
こんな力持ちたくなかった、と誰にも聞かれないように小さく宮本は呟いた
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