共犯者と運命共同体

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「……わかりました。でも、一つ条件があります。あの身体を実際に処理するのは僕に任せてください。――あなたに手伝ってほしいのは、その身体を処理する方法を一緒に考えることです。僕も一通り考えてみたんですけど、どの方法も足がついてしまいそうでなかなか行動に移せないんです」と直哉は打ち明けるように言った。 「死体の処理の方法ですか……。わかりました。考えてみます」と彼女は考え込むようにしながら言った。「でしたら、次はいつ会えますでしょうか? それまでにいくつか案を練っておきます」 「……できるだけ早い方がいいですね。可能なら腐敗臭が漂ってしまう前に処理してしまいたいところです。この時期なのでだいたい2、3日というところですか」 「じゃあ、明日の21時にここから最寄りの駅に車で来てください。できれば、男の身体も載せてきてください。私が出す案で良ければ、そのまま処理に向かいましょう」    ようやく話し合いは終わり、直哉は疲れで重くなった体を引きずって喫茶店を出た。すると、外の風景がガラリと変わり全てのものが色彩を失って、殺風景に変わり果ててしまった気がした。すれ違う人々も、冷たい視線で直哉の事を睨んでいるように感じる。  直哉はそれら全てを振り払うように、早足で家に帰った。  しかし、家に着くまで誰かに付きまとわれているような感覚がなくなることはなかった。
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