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あの人はサラリーマンで、私は専業主婦
昔は私も働いていたが、結婚を機に辞めてしまった
結婚前の私は、仕事に振り回されていた
休みの日も出勤をし、時にはあの人との予定をキャンセルしてまで仕事に行っていた
プロポーズをされた後、あの人は言ってくれた
「このまま働きたいなら働いてもいい
ただ、子作りの際にいずれ辞めるのであれば、それを私のタイミングで早めてもいい」
心から辞めたいわけではなかった
ストレスはあれど仕事は充実していたし、少しばかりのやりがいも見つけていた
"いずれ辞める"
そんなあの人の言葉が妙に引っかかっていた
何気なく言ったことだっていうのはわかってる
ただ、いずれ辞めるであろう場所に、無理やりしがみつくほどには、仕事に愛着はなかった
結婚して3ヶ月後、引き継ぎを済ませた私は会社を辞めた
あの人は喜んでいた
一緒の時間が増えることも
私の笑顔が増えたことも
自分でも余裕ができたのがわかった
仕事をしていたら気づかなかったことも
帰ってきたあの人のことを気遣うことも
喧嘩の数が減ったことも
全ての歯車がうまく回っている気がした
あの人のいない時間はやることもなく寂しいけれど
これが正解なんだと、時間が経つほどに思えるようになっていた
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