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そんな生活を始めて3年近くが経った
未だに子供はいない
別に、急いで子供を作らなくてもいいと思っていたし、二人だけの生活で充分私は満足だった
あの人が出かけた後、私は二度寝をする
そして、お昼くらいに目を覚まし、朝と昼兼用のご飯を食べる
そこから動画を見ながら時間を潰し、気分が乗った時に家事をする
仕事をしている人からしたら、夢のような生活だろう
今でこそ、私もそう思えるようになった
でも、最初は本当に地獄でしかなかった
仕事をしていれば、何かしらトラブルなり新しくやることが無限に湧いてくる
でも、家の中は違う
限られたスペースで、限られたことをこなす
ただ、そんなのは1日の中で僅かな時間でしかない
私は、それ以外の時間をただ持て余すことしかできなかった
別に外に出る制限をされたわけでもない
好きな本やCDなど、大抵のものも買って貰えている
むしろ、やろうと思えば何だってやることができるだろう
でも
仕事のなくなった私は
突然に出来たその空白を、上手に埋めることができなかった
だから、あの人が帰ってきた時は本当に嬉しかった
空虚な時間に、終わりを告げる鐘のように
ドアの鍵を開ける音で、私の本当の今日が始まる
たとえ
夜遅くになったって
疲れていたって
そのせいで、軽くあしらわれてしまう時だって
あの人がそばにいてくれるだけでよかった
そんな毎日が
私の生活の全てが
いつしか、あの人で満たされていた
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