隔たり

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あの人は、一定数夜の営みを求める人だった それに反し、私はそういうことにあまり積極的ではなかった 無論、嫌いというわけでもない 私にだってしたい時はあるし、彼から求められることにも悪い気はしていない 付き合っている時は、嫌われたくないという気持ちと、仕事のストレス解消も兼ねてか、今に比べて回数は多かった 結婚して仕事を辞めて 何度目かの営みの最中 無意識だった いつの間にか、私は俯瞰的に私を見ていた どこか  無理してる そんな感覚にさえ陥っていた 頭ではそういうことが大事なことはわかっている ネットニュースで夫婦のすれ違いの原因だとも見かけた それでも 帰宅して寝るまでの数時間 話したいことだっていっぱいある してあげたいことだって考えてある そんな、私にとって大切な時間を あの人は性欲処理に使って終わってしまう そうとさえ感じている私がいた 勿論、男性がそういうことが好きなことは知っている 他の男性がどうなのかとかはわからない あの人が強いのか普通なのかもわからない ただ、私は… いつも通り求めてきたあの人を、ある日を境に時折拒むようになった
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