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「そろそろ、どうかな?」
3年目の結婚記念日
あの人は私に尋ねた
わかってる
わかってる
嫌というほど
わかって…
「はい。」
その日のあの人は、いつも以上に激しかった
私もそんなあの人に応えるように、一生懸命頑張った
涙を堪え、声を噛み殺し
目を瞑った先には、快感よりも別の何かが押し寄せてきていた
怖い
あの人に助けを求めるように
あの人に全てを委ねるように
私は暗闇の中で目を開けた
「………い、いやっ!!!」
私は思わずあの人を突き飛ばしていた
勿論、私の倍はあるあの人が吹っ飛ぶわけもなく
ただ、あの人は呆然としていた
「ご、ごめんなさい。やっぱり、まだ私には…」
「………わかった。」
その日はそのまま、私たちは背中合わせで寝た
当然、私は眠れなかった
あの人に対する申し訳なさと
何もなかった安堵感と
明日の朝何を喋れば良いのかと
それと
…違う
私は忘れられなかったのだ
あの時
怖くて怖くてたまらなくて
すがる思いで目を開けた先の
暗がりに映るあの人の顔は
私の知っているあの人ではなかった
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