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プロローグ
就職浪人。
森辺龍二(モリベリュウジ)の人生は、23歳の時に急に方向を変えた。
それまで、親に言われるがまま勉強をし、真面目に学校に通い、高校時代はボクシング部の部長として日々精進。
大学も第一志望の国立に進み、それなりに恋愛もした。
目付きが鋭いね、とよく言われたけれど、そのお陰でおかしな奴に絡まれることは無かったし、損をしたことなど無かった。
それなのに。
就職の面接では、それが裏目に出たらしく、全く採用されなかった。
「クソっ…」
独り言を呟いて「お祈りメール」を閉じ、ベッドにスマートフォンを投げる。
このまま就職が決まらなければ、実家に帰ることになってしまう。
それだけは避けたかった。
実家には気の合わない兄が居て、会う度に喧嘩になる。
大学でやっと家を出れた時には、心からホッとした。
(とりあえず、バイトでもしなきゃな)
1度投げたスマートフォンを拾い、龍二は求人を探し始めた。
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