プロローグ

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「ねえねえ、この子いい男でしょ?森辺くん。まだ23歳よお」 ママが常連客達に言う。 「ほんと!なんか落ち着いてるね。23には見えない」 「モテるでしょ?森辺くんみたいな人に口説かれたらみんな堕ちちゃうわよね」 女性達に言われて「いや、そんなことは」と下を向く。 正直、こんな強面なのに、何故か龍二は、よくモテた。 世の中には、物好きな人が居るものだ、と龍二はいつも不思議に思う。 「みんな、手、出さないでねえ」 ママが言ってみんなが笑った。 けれど、みんな帰り際に連絡先をこっそりと龍二に渡してきた。 「連絡ちょうだいね」 香水の匂いをプンプンさせた嘘くさい女達が耳元で囁いてゆく。 森辺は、正直、女という生き物をあまり信用出来なかった。 化粧を取った下には、きっと本心を隠している。 そう思うと、男のほうがまだ信用できた。
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