出逢い

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仕事を終えて着替えていると、ロッカー室にママが入って来た。 「森辺くん、ちょっといい?」 「あ、はい」 ママは、少し残念そうに、けれど「貴方にとっていい話だから」と藤堂物産の社長が龍二を雇いたがっている話をした。 「ま、うちも用心棒が欲しかったんだけど…。向こうも運転手件ボディガードが欲しいみたい。悔しいけど、うちの給料の倍は出るみたいだから」 と苦笑した。 「そうなんですか?」 龍二は、少し考えさせてください、とその話を持ち帰る。 結局のところ、金が欲しい。 雇ってくれた松浪には感謝している。 けれど、藤堂物産のお抱え運転手として雇って貰うほうが、先々安心なことは間違い無いだろう。 (安心か…) 自分で考えておいて、おかしくなる。 こんな安心からほど遠い自分がこんな風に考えるなんて。 少し悩んだけれど、こういうことは 先延ばしにすると、相手に迷惑がかかる。 松浪にしても早く新しい人を雇いたいだろう。 決心して、龍二は藤堂に世話になる事にした。
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